チャンスに飢えていた。高卒4年目の増田陸がブレークの兆しを見せている。一塁で先発起用を続けられ、6月3日の
ロッテ戦(東京ドーム)では
佐々木朗希から右中間へ先制の適時二塁打を放つと、翌4日の同カードでも逆転を呼び込む同点打。2日連続でお立ち台に上がり、「オフに育成になってすごく悔しかった。『なんとか自分の人生変えたい』と思って日々、必死にやっている。がむしゃらにやっていることがいい結果につながってると思います」と初々しい笑顔を見せた。
茨城の明秀日立高からドラフト2位で2019年に入団したが、ケガなどで思うような結果を残せず、昨季終了後に無念の育成落ち。オフには頭を丸刈りにして気合を入れ、自主トレでは3年連続で主将の
坂本勇人に弟子入りして鍛えた。一回り大きくなった体で打撃に力強さが加わり、今季の開幕前に支配下に復帰。初めて立った一軍の舞台で、水を得た魚のように躍動している。
力強さと粘り強さが強みの打撃だけではない。もともと遊撃手として入団した増田陸は、ファームの頃から内野はすべて守り、左翼でノックを受けることも。「どこでも守ることができれば試合に出るチャンスが増える」と多くのグラブを手に練習に励む。一方で「やっぱり僕は二遊間を守りたい」という目標もある。
原辰徳監督が「強い精神力を持っている」と評価する21歳。与えられた場所、場面で、がむしゃらに結果を追い求めていく。
写真=BBM