リーグのみならず12球団でダントツのチーム盗塁数を誇り、起動力のチームカラーが浸透している。7月1日の時点で
高部瑛斗がリーグトップの25盗塁をマークし、チーム全体でも78盗塁と他球団を圧倒する。
そんな中、終盤の勝負どころで「代走のスペシャリスト」として起用されるのが和田康士朗だ。昨季24盗塁をマークし、同僚の
荻野貴司らと並んで盗塁王も獲得。高校時代は野球部に入らず、一時は陸上部にも所属した異色プレーヤーとしても注目された。
快足ぶりは健在だが、昨季と比較して出場機会が大きく増えたわけではない。その理由は、9回で試合が打ち切りとなった昨季と異なり、今季は延長12回まで行われることにある。
9回までならば、惜しむことなく「とっておきのカード」を切れたが、同点ならば、その先も見据えなくてはならない。
「出られないときもあるけど、しっかりと1点をもぎとるような走塁をしたい」
この時点で和田は8盗塁。今季は思い切った仕掛けだけではなく、確実に1点がほしい場面での起用法が増えた。
6月17日の
日本ハム戦(札幌ドーム)では1点ビハインドの9回無死一、三塁。代走で出場し三塁まで進むと、一塁走者・
岡大海が二盗した際に、遊撃手が捕手からの二塁送球を前にこぼすと、瞬時の判断で本塁生還を果たした。
リプレイ検証されるほどのクロスプレーだったが、和田は「危ないと思ったらいかなかった。セーフになる自信があった」と振り返る。まさに、「走塁のスペシャリスト」と呼ばれるだけの活躍だった。
写真=BBM