打率は.234でも、得点圏では.355とめっぽう強い。現時点のこの数字だけでも、チーム最年長39歳の大ベテラン、中島宏之が放つ存在価値の高さが分かる。
「打席に立ったら年齢は関係ない。いつも打ちたいしね。守っていてもアウトにしたい。気持ちは常に若いですよ」
7月31日には40歳の節目を迎えるが、いつまでも変わらぬ闘志が、ベテランの心の中ではメラメラと燃え盛っている。今季前半は代打の切り札、時には一塁の先発で、何度も見せ場を作ってきた。
4月27日の
DeNA戦(横浜)では4回に先制の1号満塁本塁打を放ち、「(満塁本塁打を)いつ打ったかなと思いながら。うれしくて、興奮してしまった」とド派手に主役の座を奪った。
これで勢いに乗ると、5月4日の
広島戦(マツダ広島)では同点の7回一死三塁の場面に代打で登場し、左翼線へ決勝の適時二塁打。さらに同18日の広島戦(宇都宮)では1対2の9回無死満塁、鮮やかに左越えの逆転サヨナラ打と、絶好調でチームを引っ張った。
日米通算22年目を迎えている中島に、
原辰徳監督も「技術も、パワーも、メンタルも、まだいいものが満ちあふれていますね。表のリーダーは勇人(
坂本勇人)だろうけど、ナカジ(中島)はある意味、そのリーダーを支える裏のリーダー的な存在」と絶大な信頼を口にする。
40歳を前にエネルギッシュさをさらに増している中島が、これからも試合終盤で勝負を決める。
写真=BBM