昨季、最多安打、盗塁王に輝いたリードオフマン・
荻野貴司が下半身のコンディション不良で開幕から不在となる中で、その大きな穴を埋めてきたのが高部瑛斗だ。
オープン戦で首位打者となり、荻野の代役として開幕スタメンに抜てきされると、そのままレギュラーをがっちりとつかんだ。シュアな打撃と、快足を武器に盗塁成功を重ねる。
佐々木朗希と同期入団の3年目。昨季までの2年間は二軍で結果を残しながら、一軍昇格すると高いカベにはね返される繰り返しだった。今季はそれを乗り越えた。
「変わったことは、自分のできることに集中していること。昨年はすごい人を見て、こう打ちたいなとか欲が出たけど、今は自分のできることにフォーカスして、自分のペースでやることを大切にしている」
チームは2年連続リーグ2位。「今季こそ、優勝!」と期待される中、助っ人勢の不調も重なってスタートダッシュに失敗した。それでも、高部は「いいときも悪いときも切り替えて、毎日、フレッシュな気持ちで入る」とコンスタントに結果を残している。
5月後半に荻野が戻ってきてからは、チームの状態も上向きとなった。高部が一、二番を打つこともあれば、
井口資仁監督は「下位打線のつながりが悪いので……」と七、八、九番を任せて、打線のつながりを持たせようとすることもある。
座右の銘は「挑戦」だという。失敗を恐れずに高みを目指すスタイルは、若手が多いチームの中でも際立っている。前半戦のチームを引っ張ったのは、確かに高部だった。
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