エースとして先頭に立って戦う
拳を握り締めて2度、3度とほえた。5月29日の
ヤクルトとの交流戦(
楽天生命パーク)。
則本昂大が8回5安打無失点で今季3勝目。チームの本拠地での連敗を7で止め、「やっと自分らしく投げることができた」と充実感をにじませた。
交流戦で優勝したヤクルトは、同日まで4試合連続で2ケタ安打。絶好調の相手を力でねじ伏せた。先頭の
塩見泰隆に対し、初球から152キロを投じた。「ブルペンで荒れていたので、それならコーナーよりも大雑把に腕を振ろう」。初回を三者凡退に封じると、徐々に調子を上げた。直球で大胆に内角を突き、スライダーとフォークを低めに集めた。8回は一死一、二塁のピンチを背負ったが、
山田哲人をフォークで三ゴロ併殺に打ち取った。
交流戦最終戦の
巨人戦(6月12日、楽天生命パーク)では7回6安打2失点。通算100勝と1500投球回をダブルで達成した。6月28日の
オリックス戦(ほっと神戸)では8回途中1失点。チームトップとなる6勝目を飾った。
同日はチームの連敗を3で止めた。チームの連敗をストップしたのは今季4度目。春季キャンプ中に右足首をひねり、4月上旬には新型コロナに感染し離脱。万全と言えない状態でスタートしたが、先発ローテの柱としてチームの苦境を救った。
石井一久GM兼任監督も「チームを勝たせるのが彼の役目。負けで(出番が)来ることが多い中で頑張ってくれている」と信頼を寄せる。エースと呼ぶにふさわしい活躍を見せた右腕が、前半戦のMVPだ。
写真=BBM