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DeNA・田中健二朗 しびれる場面で帰ってくるセンバツ優勝左腕/甲子園のヒーローは今

 

今季、1363日ぶりの勝利を手にした田中


 重ねた努力は報われた。田中健二朗が大きな一歩を刻んだ。「チームが打ってくれて、後ろの投手が抑えてくれた。みんなに感謝したいですね…」と喜びをかみしめたのは4月19日の阪神戦。本拠地・横浜スタジアムのお立ち台だった。2018年7月26日の中日戦(ナゴヤドーム)以来、実に1363日ぶりの勝利投手。同点の5回に三番手で1回を無失点でつなぎ、味方打線の勝ち越しによってうれしい復活星を手にした。

 ラミレス監督時代の16年から2年連続で60試合登板をクリア。フル回転の代償は大きく、19年8月に左ヒジのトミー・ジョン手術を受けた。一般的に全治は1年以上とされるが「1日でも早く、1軍のマウンドに立ちたい」と決意。翌20年から育成選手として再出発し、強い気持ちで苦難に立ち向かった。リハビリの過程では、左ヒジに負担のかかりにくいフォームを模索。21年6月に支配下選手登録されると、9月12日の阪神戦(横浜)で3年ぶりの一軍登板を果たした。7点リードの9回二死。勝ちゲームの最後を締める、という最高の舞台が用意された。

 7月に右太もも裏の肉離れで離脱したものの、今季は35試合で防御率1.95と奮闘。Aクラス入りへ不可欠な戦力であることは確かだ。静岡・常葉菊川高では3年春(2007年)にエースとしてセンバツ優勝を成し遂げ、夏もベスト4入りに貢献。かつての高校生ドラフト1巡目も、9月には33歳を迎える。紆余曲折を経て、心身ともにたくましくなった背番号46。しびれる場面で帰ってくる。

写真=BBM
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