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中日・根尾昂 ラストチャンスの覚悟で/甲子園のヒーローは今

 


 強烈な記憶を野球ファンに刻んだあの夏から4年。根尾昂にとって2022年は野球人生のターニングポイントが訪れた。交流戦を終えた翌日の6月13日。立浪和義監督は根尾の投手転向を明らかにした。

「(遊撃への)気持ちはずっと持っています。もちろんもっと打ちたいし、投げたい気持ちもある。だけど中途半端と言われないように。よし、やるかという気持ち」。根尾は直後の取材にそう打ち明けている。

 大阪桐蔭高時代は遊撃と投手の二刀流で甲子園の春夏連覇を達成。ドラフトでは4球団競合の末、中日に入団。本人は遊撃で勝負したい意向を示し、野手として3シーズンを送ってきた。

 昨季は出場機会を求め外野手としてプレー。開幕スタメンに名を連ね、5月にはプロ初本塁打を満塁弾で飾った。しかし、打率は2割を切るなど思うような数字は残せなかった。

 立浪監督は就任したばかりの秋の段階で外野1本で勝負させると明言。しかし3年目の岡林勇希、ルーキー鵜飼航丞が台頭すると根尾に出場機会は激減。4月になると遊撃に再コンバートされる。

 遊撃ならば守りが一定レベルを超えれば、打撃についてはある程度目をつぶっても起用できるという判断だったが、守備面の成長を待つよりも、投手としての潜在能力にかけたほうが活躍への近道というのが立浪監督の導いた結論だ。

 8月15日現在、14試合で防御率2.63。13回2/3で四球3というコントロールの良さに加え、最速も高校時代を2キロ上回る154キロをたたき出した。「目の前の打者を抑えることを考えてやっていきます」。根尾にしか歩めない道を突き進む。

写真=BBM
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