15年連続50試合以上登板の大記録にあと1年と迫る今季だが、達成は難しい状況に
鉄腕・
宮西尚生が、とても苦しいシーズンを過ごしている。今季、通算800登板を達成した中継ぎのスペシャリストは、約2カ月の二軍生活から球宴明けの7月29日に一軍復帰。その日の
楽天戦(楽天生命パーク)で登板後、自らを鼓舞するように言った。「諦めてます、正直。ペース的にも厳しい。そこに関しては、もう何も考えていません」。
入団以来、昨季まで14年連続50試合以上登板を続けてきた。パ・リーグでは、すでに最長。NPB記録は元
中日の
岩瀬仁紀が新人の1999年から13年までの15年連続。宮西は岩瀬まで、あと1年に迫って迎えた今季だったが、後半戦初戦となった7月29日の楽天戦で21試合目の登板。チームは残り50試合。数字的には厳しいと認めざるを得ない状況となっていた。
37歳となった鉄腕サウスポーは、昨季からベストパフォーマンスを追い求めた試行錯誤が続いている。年齢を重ねる中で避けられない肉体的な変化が、頭の中で理想とする体の動きとの微妙なギャップを生み、宝刀スライダーを意のままに操れなくなっていた。二軍では自身の感覚だけでなく、科学的な投球データも参考にしながら、修正を重ねてきた。
3度の最優秀中継ぎ投手に輝いたことがあるように、経験値から裏付けされた投球術はチーム随一だ。BIGBOSSの下で、大きく若返りながら再構築され始めているチームの中で、存在感を発揮できる実力は兼ね備えている。「悔いの残らないようにやりたい」。生けるレジェンド左腕は新たな自分の投球を模索しながら、15年目の夏を過ごしている。
写真=BBM