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オリックス・杉本裕太郎 打席に入る前に言い聞かせ「秘策を用意してました」/タイトルホルダーの意地

 


 ラオウの復調が逆転でのリーグ連覇のカギを握る。昨季、パ・リーグ本塁打王に輝き、悲願の25年ぶりとなるリーグ優勝に導いた杉本裕太郎が、シーズン後半に向かうにつれて、着実に状態を上げている。

 今季の開幕直後は極度の打撃不振に陥った。一時は打率が背番号99に並ぶ、.099も経験。「正直、今は野球が楽しくない……」。本人が吐露すると同時に、周囲からは“2年目のジンクス”の声も聞かれた。

 だが、昨季、チームをリーグの頂点に導いた本塁打王だ。きっかけさえあれば立ち直れる──。そんな4月下旬のこと。新型コロナウイルスに感染してしまった。

「野球の神様に『しばらく野球すんな』と言われてる気がしたんです。だから……。あの期間は野球から離れてみた」

 隔離生活中、一軍の試合は映像でチェックして戦況を見守ったが、それ以外は野球関連の話題を、頭から一度は消した。人気アニメ「HUNTER×HUNTER」に少年のように熱中し、良い切り替えができた。戦列復帰すると「ゼロからスタートやなと思ったんです」と、笑顔を見せた。

 今季の杉本は、悔しい表情を浮かべながらも、すぐ笑顔に戻る。

「今年は秘策を用意してました。ヘルメットのつば裏に『全員でW(笑)おう ! 』シールを貼ってるんです。苦しいときも打席に入る前に、ちゃんと見て……。『楽しもう』、『笑えるように頑張ろう』って言い聞かせています」

 8月21日の西武戦(ベルーナ)を前に、新型コロナの濃厚接触者の疑いで登録を抹消されたが、背番号99が戻ってくれば、お決まりの「昇天ポーズ」で喜びを共有するため、強いスイングを心掛けていく。出遅れた分を取り返すため、必死にバットを振るだけだ。

写真=BBM
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