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ソフトバンク・野村勇 球団史に名を残すパンチ力/即戦力と言われて

 

あと1本塁打で球団新記録となる野村勇


 長い時を経て、戦前の記録に肩を並べた。8月21日の日本ハム戦(PayPayドーム)。ドラフト4位ルーキーの野村勇が3回に9号2ランを放つと、8回には10号ソロをマークした。区切りの2ケタアーチは、1リーグ制の1939年に鶴岡一人(南海)が樹立した球団新人タイ記録。井口資仁(現ロッテ監督)、小久保裕紀(現二軍監督)ら球団の名だたるスラッガーも届かなかったルーキーイヤーの2ケタ弾を達成した。

「僕なんかが……。光栄です。8本目を打ったあたりから10本はいきたいと思っていた。あと1本、頑張って超えていきたい」。83年前に10本塁打の鶴岡は新人年に本塁打王を獲得し、通算23年間の監督生活で史上最多の通算1773勝を挙げた球界のレジェンド中のレジェンド。次は記録更新に狙いを定めた。

 身長175センチながら非凡なパンチ力を発揮する。社会人・NTT西日本から25歳で入団した妻子持ちのオールドルーキー。何よりも50メートル走5秒8の俊足を買われていた。盗塁王を目標に掲げ、「社会人上がりの即戦力で獲ってもらっているので、そこは狙っていきたい」とプロの世界に飛び込んできた。

 開幕一軍をつかむと、足のスペシャリストとして、代走などで出番を増やした。4月21日のオリックス戦(京セラドーム)でプロ初アーチを放つと、同24日の日本ハム戦(札幌ドーム)では球団では小久保以来28年ぶりとなる新人の1試合2発も記録している。「(本塁打は)一番うれしい理想のバッティングです」。魅力あるひと振りで球団史を塗り替えている。

写真=湯浅芳昭
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