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日本ハム・伊藤大海 矜持が詰まった超スローボール「余裕を持って投球する意味でもアリかなと」/伝家の宝刀

 

初出場の球宴で計測不能の超スローボールを投じて場内を沸かせた


 伊藤大海が大舞台で伝家の宝刀を抜いた。7月27日にオールスター第2戦が行われた愛媛・松山の坊っちゃんスタジアム。初出場となった右腕は8回に登場すると、球宴で投じた第1球は計測不能の超スローボールだった。「ランナーが出てからでは投げられないので、1球目からいこうかなと考えていました」と、度胸たっぷりに投げ込んだ。

 宣言どおりのパフォーマンスだった。監督推薦でオールスター初出場が決まった際に「オールスター“最遅”を狙おうかなと思います」と、超スローボールを投じることを予告。テレビ中継の画面から消えるほどの孤を描いて「まだ、試合では1回もストライクを取れてないので、ストライクを取れるように頑張ります」と、詳細な狙いも明かしていた。

 その初球は広島坂倉将吾に打たれたが、右飛に打ち取った。続く阪神佐藤輝明には全て直球の真っ向勝負を挑み、3人目の中日ビシエドに対する初球は再び超スローボール。きれいに大きな孤を描いて捕手のミットに収まった1球に、球審もストライクをコール。伊藤も思わずマウンド上で、球審を真似してストライクのジェスチャーを披露。うれしさのあまりに笑みがあふれた。

 ルーキーイヤーの昨季途中から、試合中に数球、超スローボールを投じるようになった。「野球はピッチャーが投げてからプレーが始まる。自分でもっと余裕を持って投球する意味でも、ああいうのはアリかなと思いました」。伊藤の伝家の宝刀には、遊び心を忘れない、投手としての矜持が詰まっている。

写真=BBM
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