佐々木朗希のフォーク、
石川歩、
益田直也のシンカー、
唐川侑己のカットボールなど、ロッテの投手陣にはリーグを代表するウイニングショットを持つ投手がたくさんいる。その中でも、特徴的な変化球を武器とするのが入団2年目左腕・佐藤奨真だ。
2020年秋の育成ドラフトで4指名されて入団し、今季開幕前に支配下登録。6月12日の
DeNA戦(ZOZOマリン)では6回2失点でプロ初勝利をマークした。160キロに迫る剛速球を投げられる投手が、珍しくなくなってきた野球界の中で140キロにも満たない直球ではい上がってきた。
お世辞にも速いとはいえない直球を、生かすのが100キロを割る大きなカーブだ。この試合の最速は139キロ。最遅は85キロ。スローカーブで牧から空振りも奪った。遅い球があるからこそ、遅い直球でも打席に立った打者を差し込むことができる。
甲子園にも出場した関東一高時代から持ち球の一つだったが、「中学1年から投げていたが、(プロ入り前の専大時代は)スカウトから直球とカットボールの組み合わせがいいと言われていた」と打ち明ける。
そんな事実があるからこそ、佐藤奨も「プロに入ってからカーブがいいと言われるようになった。自分の中では意外な形になっている」と言うのだ。
プロ入りしてからは、歴代のカーブの使い手の映像を見ながら、独自の研究を重ねた。「特に
今中慎二さん(元
中日)や
星野伸之さん(元
オリックスほか)を参考にしました」。剛速球がなくても、プロで活躍できるのだから、野球は面白い。
写真=BBM