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ロッテ・荻野貴司 衰え知らずの晩成型「順調に来たわけではないけれど」/足で魅せる!

 


 8月19日の楽天戦(楽天生命パーク)。同点の3回二死一、三塁で、一塁走者の中村奨吾が少しタイミングを遅らせてスタートを切った。捕手・炭谷銀仁朗の二塁送球の軌道が少し高いと瞬時に判断すると、三走・荻野貴司は迷わず本塁を狙った。

 重盗は見事に成功。ホームスチールで勝ち越し点を奪うと、ベンチ前ではこの日先発だった佐々木朗希からハイタッチで出迎えられた。右手中指のマメをつぶし、6月から白星がなかった3年目右腕に白星を贈った。

 故障がちな野球人生だが、衰えはない。昨季は自身初の143試合に出場し、盗塁王と最多安打のタイトルを獲得。今季は古傷の右ヒザ痛で開幕二軍となり、その後も右ワキ腹を痛めると一軍初昇格は5月27日と大きく出遅れた。

 それでも、ここから打率3割近くの数字をマークし、盗塁数も着実に積み上げた。

「ここまでケガなどもあり、順調に来たわけではないけれど、支えてくださった方々のおかげで、ここまでプレーすることができている」

 7月17日に通算250盗塁を達成すると、8月10日には通算1000安打をマーク。9月7日には通算1000試合出場も記録した。

 チームには、高部瑛斗和田康士朗といった若手のスピードスターも頭角を現わしているが、経験豊富な荻野が一番に座り、攻守走で結果を出しているからこそ、二番・高部、代走の切り札として和田の価値は一層高まる。

 井口資仁監督もベテランの力に信頼を寄せている。「晩成型のタイプと思うので、長く、さらに倍できるように頑張ってほしい」。10月で37歳。荻野はまだまだグラウンドを駆け巡る。

写真=BBM
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