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楽天・涌井秀章 離脱を経て取り戻した迫力/復活を遂げた男たち

 

経験豊富な右腕の存在は大きい


 約4カ月ぶりの復帰戦とは思えなかった。9月8日のソフトバンク戦(PayPayドーム)。先発した涌井秀章が、6回3安打2失点の粘投で5月4日以来となる今季4勝目を飾った。「戻ってこられてよかった。投げていて楽しかった」と満足そうに汗をぬぐった。

 ベテランらしい投球術だった。初回一死一塁、柳田悠岐に2ランを被弾。立ち上がりに不安を露呈したが、2回以降は修正した。140キロ後半の直球で丁寧にコーナーを突いた。カットボールにスライダー、シンカー、カーブと多彩な変化球を駆使して的を絞らせない。5回を三者凡退に封じると、6回先頭の柳田は二ゴロ。5回に続いて6回も三者凡退で石井GM兼任監督も「あそこまで投げてくれれば十分。しっかりと先発の仕事をしてくれた」と素直にたたえた。

 今季は開幕先発ローテから外れたが、新型コロナ陽性判定を受けた則本の代役として3勝をマークするなど、チームのスタートダッシュに貢献した。アクシデントに遭遇したのは5月18日のロッテ戦(ZOZOマリン)で、中村奨吾の打球を受けて右手中指を骨折。長期離脱を経ての復活マウンドだった。

 9月16日のソフトバンク戦(楽天生命パーク)では5回途中3失点で敗戦投手に。勝負どころで甘くなった球を仕留められ、復帰後2連勝を飾ることはできなかった。ただ地道なリハビリに耐え、一から体を鍛え治した日々は決して無駄にはならない。ボルトが埋め込まれた右手から投じられた白球には、球速以上の迫力があった。

写真=BBM
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