未来の光を感じる試合となった。9月18日の
日本ハム戦(札幌ドーム)で、安田尚憲が右翼席へ大きなアーチを描いた。
3対3の8回裏に1点を勝ち越されたが、直後の9回表に再逆転。一死三塁から
藤原恭大の中前適時打で同点に追いつくと、続く
高部瑛斗は空振り三振に倒れたが、
中村奨吾が左前打でつないで二死一、三塁から四番で起用された5年目が、高いフェンスを軽々と越える決勝3ランを放った。
打球は中段近くまで飛んでいった。その放物線は、紛れもなくホームランバッターにしか描けない軌道だった。試合後の安田の顔からも充実感が伺えた。
「今はいい打球、いいスイングができている。最近は右翼方向へも本塁打が出ているので、いい感じだと思います」
納得の今季8号だった。
プロ3年目の一昨年は、打率.221ながらも、
井口資仁監督が我慢強く四番で起用し続けた。ところが、飛躍が期待された昨季は打撃フォームに悩み、打率.242と停滞した。今季は打率.263と少しずつ数字を上げた。直近3年間の本塁打数も6本、8本、9本とわずかな上昇に終わっている。
それでも、8月19日の
楽天戦(楽天生命パーク)で今季3号をマークしてから約1カ月ちょっとで7本塁打を量産したのだから、来季以降に大きくつながるだろう。
今季限りで辞任する井口監督は「来期以降チームを引っ張ってくれる存在になってくれると思う」と期待した。こんなアーチを来季は何本も打ちたい。安田にとって、それが恩返しとなる。
写真=BBM