劇的な幕切れだった。ヒーローはドラフト2位ルーキーの丸山和郁だった。優勝へのマジックナンバー「2」で迎えた9月25日の
DeNA戦(神宮)。9回一死二塁で左中間へのサヨナラ打を放った。ナインはベンチから一斉に飛び出し、スタンドの燕党は歓喜に沸く。2年連続9度目のリーグ制覇を決めた。
「打つことに必死だったので、前に飛んでくれてよかったです。真っすぐ一本に絞って前で打ちました。プロに入って初めてのサヨナラという形で試合を決められてよかった」
ビールかけで先輩たちから手洗い祝福を受けながら、喜びを爆発させた。サヨナラ打でリーグ優勝を決めたのは、2015年の
ヤクルト・
雄平以来7年ぶりで、新人選手のサヨナラ打による優勝決定は史上初の快挙。球団では1992、93年以来29年ぶりのリーグ連覇を成し遂げ、黄金時代の再来が見えてきた。
必死に進んできた末の最高の笑顔だった。今季は開幕一軍をつかんだが、2度の出場選手登録抹消を経験。「一日一日が本当に必死すぎて、手応えを感じる余裕がない」と振り返ったほど。特に、期待されていたのは代走や守備固めなどがメーンで、優勝を決めた試合も
サンタナが8回の守備で負傷したため途中出場で回ってきた出番だった。だからこそ、ここぞの一番での一打は大きな自信につながったはずだ。
ポストシーズンに向けて「チームの勝利に貢献できるように一戦一戦頑張っていきたい」と前を向いた丸山和。フレッシュな力で球団初となる2年連続日本一にも貢献する。
写真=BBM