昨季の悔しさを、結果で晴らしてみせた。中川圭太が首脳陣の期待以上の成績を残した。
プロ4年目の今季は110試合に出場し、打率.283、8本塁打、51打点、11盗塁の好成績を残し、悲願の連覇に大きく貢献した。
昨季の25年ぶりリーグ制覇には貢献できず「やっぱり悔しい思いがすごく強かった。(二軍にいたときは)一軍の試合を少しは見ていましたけど、基本的にはテレビを見るのもやめていました」と歯を食いしばった。
活躍を届けたかった人がいる。9月8日の
西武戦(ベルーナ)で、亡き恩師にささげる2本のアーチを放った。自身初の1試合2発を放ち、7日に亡くなった、東洋大時代の恩師・高橋昭雄前監督に感謝の気持ちを込めた。
「僕の今があるのは大学の4年間。教わったのは3年間ですけど、その期間がすごく大きい。今の打撃は高橋監督から教わったことがすべてだと思う。本当に感謝の気持ちでいっぱいです」
4回に中堅左へ先制5号ソロ、8回には左翼へ6号ソロを放つと、一塁側ベンチ前で、上空を見上げて祈った。「天国から監督さんが見守っててくださったおかげ。お前のバットでチームに勝利を。勝たせてみろ! と、ずっと言われていました。今もそういう気持ちでやっています」。自然と言葉に力がこもった。
シーズン中盤からは三番・中川圭、四番・
吉田正尚、五番・
杉本裕太郎の頭文字を取った「なかよすぎ打線」がチームを支え、日本シリーズ第1戦、第2戦でもクリーンアップを形成。内外野を守れ、どの打順でも対応できる“無敵の中川”が飛躍の1年にした。
写真=BBM