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広島・上本崇司 聞くことから始まった打撃開花/飛躍のシーズン

 

プロ初本塁打をマークするなど打撃面で進化を見せた上本


 節目のプロ10年目は、どの数字をとってもキャリアハイを大きく上回った。今季94試合に出場した上本崇司。そのうちスタメン出場は70試合を数えた。今年までの9年間でスタメンは30試合にとどまっていたが、1年だけで大きく更新。何が上本をそうさせたのか。「打たないと試合に出られない。守備と走塁をある程度捨てて、打撃に集中した」。覚悟を持って挑んだ。

 打撃向上のために具体的に取り組んだことは「人に聞くこと」。今までは控えていたが「聞くと先輩でも後輩でも、ちゃんと教えてくれる」と感謝を抱き、アドバイスに耳を傾けた。鈴木誠也にはタイミングの取り方を聞いた。「投手に合わせずに、自分の一番強く振れるところで待つ。呼び寄せて打つ」と助言された。トップの位置については會澤翼から。背中側に入っていたバットのトップを体の前面にズラすなど微修正を加えた。それらを受けて「ガラッと変わった」。手応えはしっかりと感じた。

 その甲斐もあり、9月10日のヤクルト戦(神宮)では通算477打席目で初本塁打も飛び出した。これまでの最多68打席(2021年)を大きく上回る300打席に立ち80安打。まさに飛躍の1年だ。「僕は二軍で結構長く暮らしてきた。ファームでなかなか(一軍に)上がれなくてもがいてる子にも『崇司さんでもこのくらい打てるんだな』と証明できたと思う」と胸を張った。来季に向けて「ちんたらしてたら(レギュラー)奪っちゃうよという気持ちでいる」と燃えるものがある。32歳の上昇は、まだまだ止まらない。

写真=BBM
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