俊足、両打ち、内外野はどこでも守れる。若林晃弘は、元大洋で同じく内外野を守る右打者だった父・憲一さんから譲り受けた万能ぶりで、チームに貢献する。
社会人JX-ENEOSから2018年ドラフト6位で入団。昨季は自己最多の96試合に出場し、「いつまでも勇人(
坂本勇人)さんに頼ってはいられない。僕とかがあとを継いでいかなければいけない」と次世代を担う覚悟を胸にプロ5年目の今季を迎えた。
だが、6月3日に右手血行障害改善のための手術を受けるなど離脱もあり、最終的には43試合の出場で打率.200、1年目以来の本塁打、盗塁ゼロに終わった。それでも夏場以降は一軍に定着。9月21日の
DeNA戦(横浜)では、渋い仕事ぶりを見せた。
同点の5回一死二、三塁のチャンスに代打で登場すると、右腕・
ガゼルマンに対して左打席に立ち、カウント1-2と追い込まれてから低めのチェンジアップに食らいついて二ゴロ。三塁走者を生還させ、決勝点をもたらした。「最低限の仕事ができた」と振り返った29歳に、原監督は「追い込まれたら最高の仕事、最低の仕事という言い方もある。その部分では非常によかった。代打でああいう打撃ができるのは存在感がありますね」と、拍手を送った。
数字だけでは測ることができない若林の魅力がある。それでも若林自身が目指すのはスーパーサブの座ではない。定位置獲得へ、来季こそ飛躍を遂げる。
写真=BBM