中日の岡林勇希の今季の推定年俸は740万円。それが何倍になるのだろう。142試合に出場し、打率.291をマーク。161安打を放ち、最多安打のタイトルを獲得した。最下位に沈んだドラゴンズとあって、岡林の契約更改は数少ない明るい話題だ。
三重・菰野高から2020年にドラフト5位で入団。高校時代は投手だったが、入団してからは外野手登録に。翌21年に立浪監督が臨時コーチとして春季キャンプに訪れた際に「この子は近い将来レギュラーになる」と予言。そして今年。その立浪監督が積極的に若手起用を推し進めた中で最も結果を残した。
開幕直前のオープン戦で右手薬指を負傷。それでも患部を固定し、ど根性で出場した開幕戦でいきなり3安打と結果を残すと勢いに乗った。
疲労で打率を落とすこともあったが、7月の月間打率は.375と再び上昇。9月には最多安打のタイトル争いを演じるようになった。最後の2試合で9打数6安打と打ちまくり、
DeNA佐野恵太と最多安打のタイトルを分け合った。
大躍進のシーズンになったが、さらなる飛躍へ休むヒマはない。みやざきフェ
ニックス・リーグに参加し、その後は沖縄秋季キャンプへ。野手は午前10時にアップが始まり、一番遅い組が球場をあとにするのは午後6時過ぎだった。
中日の沖縄秋季キャンプはとにかく長いが、岡林はそこから約5キロ離れた宿舎までの道のりを歩いて帰っている。「もっと強く振れるように」。真の中心選手になるために振って振って振りまくる。
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