若手が鍛錬を積む場所では、その完成度は抜きん出ていた。来季のブレークを予感させているのは井上温大だ。
「チェンジアップとツーシームを(10月の)フェ
ニックス・リーグと秋のキャンプで練習してきて、けっこう割合を多く投げたんですけど、自分が思っているよりもいい形で決まったので、良かったです」
井上はそう実りの秋を振り返った。
群馬・前橋商高からドラフト4位で2020年に入団した左腕は、左ヒジの手術と育成落ちを経て3年目の今年7月にプロ初登板、9月にプロ初勝利をマークした。それでも本人は「今季は4度先発させてもらって、それで1度しか(自らの)勝ち星をつけられなかった。勝ち星を重ねるのは難しいが、その期待に応えたい」とシーズンの悔しさをにじませる。
11月6日の侍ジャパンとの強化試合(東京ドーム)では、首脳陣から先発機会を与えられた期待に応え、3回1安打無失点と好投。宮崎秋季キャンプでもブルペンでキレのあるボールを投じ、原監督からは「一つランクが上がったなと。エース格と戦える選手になってくるんではと思いますね」と評された。
来年1月は、同じ左腕として目標としていた
DeNAの
今永昇太に合同自主トレを志願して承諾を得た。「練習、食事、キャッチボールの意識。一つひとつを吸収したい」と目を輝かせる。まだ表情にあどけなさが残る井上だが、その投球は新世代G投の先頭に立つ可能性も秘めている。
写真=BBM