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ソフトバンク・甲斐拓也 打てずとも果たした下位打線での役目/わがチームの“○○王”

 

打撃が振るわず苦しみながらも、仕事を全うした甲斐


 6年連続6度目のゴールデン・グラブ賞を受賞するなど今季も「扇の要」として投手陣を支えた甲斐拓也が、“犠打王”としてもチームに貢献した。チームではダントツで、パ・リーグでも2位に16個差をつける1位の38犠打をマーク。2019年から3年連続で2ケタ本塁打を記録するなどパンチ力も武器としながら、今季は打率.180、1本塁打と苦戦した部分もあったが、キャリア最多となる犠打を決め、下位打線としての役目は果たした。

 そのバント技術の高さが珍しい「駆け引き」につながったのが、8月28日の日本ハム戦(札幌ドーム)だ。2点リードで迎えた7回一死一、三塁で、甲斐は初球からスクイズを仕掛けた。今季そこまででスクイズを5度成功させていた「職人」を警戒し、相手バッテリーの初球はウエスト気味のボール。結果ファウルとなると、その後2球連続でのウエストなどで3ボール1ストライクとなった。そして5球目。日本ハムベンチは四球覚悟のウエストを指示、ベンチからセーフティースクイズのサインを受けていた甲斐は見送って四球を選んだ。満塁と好機は拡大し、さらに4点を追加。甲斐のバントを巡る駈け引きが、ビッグイニングにつながったのだ。

 献身的な打撃と安定した守備で、今季は捕手として両リーグトップの125試合に先発出場(130試合に出場)したが、来季は決して安泰な立場ではない。DeNAから国内FA権を行使した嶺井博希が加入。「捕手というポジションは1個しかない。出続けて勝ちたい」。来季もチームの重要な歯車として貢献する覚悟だ。

写真=BBM
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