わずか2試合出場。国内FA権を今季取得した田村龍弘は「本当にいろいろと考えて、今までで一番考えましたね。どうするか、自分の人生なので」と明かす。最終的な決断は、権利を行使せず1年契約での残留だった。
「チームの体制も変わって、またイチから勝負できると思ったし、あとは吉井監督に会ったときに、“残ってほしい”と言ってもらえた」
球界を代表する捕手である。2016年にはベストナイン、
石川歩と最優秀バッテリー賞にも選出された。18年には143試合全試合出場を果たし、侍ジャパンの経験もある。
確かに今季は高卒ながら開幕スタメンをかぶった
松川虎生、強打を武器に一塁を兼任しながら出場機会を増やした
佐藤都志也といった若手の台頭があった。松川は
佐々木朗希と完全試合を達成。佐藤都も盗塁阻止率がリーグトップと結果を残したが、田村自身も、「二軍だけど、自分なりには打撃でも守備でも、ある程度結果は出せていた。一軍に呼ばれない悔しさもあった」と胸の内を明かす。
それでも悔いてばかりはいられない。残留を決めたからには、来季はもう一度、正捕手を奪い戻すつもりだ。
「今までの実績は関係なく、今年は何もしていない。来年はチャレンジャーとして松川とか都志也(佐藤)とかに勝っていかないといけない」
オフは、体の柔軟性や体幹を鍛えることに重点を置く。
来季から背番号も「22」から「27」となる。「ケガとかも増えたので、心機一転、流れを変えたい。一年間完走したい」。まだ28歳。若手に負けるわけにはいかない。
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