常勝軍団の形成を狙うオリックスがリーグ3連覇&2年連続の日本一を狙う。
2022年は悲願の日本一を成し遂げた。日本シリーズ第7戦のゲームセットの瞬間、中嶋聡監督は頭を抱えた。喜びよりも苦悩からの解放。重圧から解き放たれた瞬間でもあった。
「皆さんに(記事で)そう取り上げられますけど、こっちは全部しっかり考えてやっているんです」
中嶋マジックと呼ばれる采配には、種も仕掛けもあった。日々変動するスタメン表は奇襲を仕組んでいるのではない。相手投手や球場との相性、試合前の打撃練習を観察してオーダーは完成する。22年は143試合で141通りのオーダーが完成するほどの「調整力」で勝ち取った頂点だった。
リーグ3連覇を狙う23年に向け、戦力補強も施した。
西武から国内FA権を行使した
森友哉に猛烈アタックを決め、獲得に成功。新外国人の補強にも積極的に着手し、レッドソックスに移籍した主砲の
吉田正尚、
日本ハムにFA移籍した
伏見寅威の大きな穴を埋める算段だ。
プロ野球の発展に大きく貢献した野球人に贈られる「正力松太郎賞」の選考委員会が11月8日に都内で開かれ、1996年以来26年ぶり日本一に導いた中嶋監督が選出された。球団では、96年の
仰木彬監督以来の受賞で、選出を伝え聞くと「あまりにもすごい賞という印象。まさか自分の名前が入るとは思いませんでした。本当にうれしく、喜ばしいこと。チーム全員で受賞したものだと思います」と驚きの表情を浮かべた。
常々、口にするのは「全員が戦力」。リーグ連覇を果たしても、その姿勢は変わることはない。
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