四十にして惑わず。40歳にもなれば、物事の道理を理解して迷わないという言葉だ。チーム最年長、プロ入りから23年目を迎えた中島宏之が見据えるのも、ただ一つ。
「とにかくチームが勝つように貢献したいということだけかな」
巨人に加入して4年目だった昨季は62試合に出場し、99打数24安打の打率.242、1本塁打、20打点。前半戦では球団最年長を更新する満塁本塁打やサヨナラ打を放ち、得点圏打率は.308。数字以上の勝負強さを印象づけた。
オフにチームは
ソフトバンクから39歳の
松田宣浩、
広島から38歳の
長野久義を獲得した。同じ右打ちのベテランが加入したことで出場機会が減る可能性もあるが、「誰がどうとかはあまりない。自分に与えられたところで貢献するだけ」とキッパリ。自身と向き合いながら、着々とトレーニングを進めている。
通算2000安打まで残り77本。数年前は「打ちたい」と強く意識した言葉を口にしたこともあったが、「近くなったら意識するだろうし、ちょっとずつ。今は何も思っていない。コツコツ打ってチームに貢献するということだけ」と、原監督が語るフォア・ザ・チームの精神「個人より巨人」を体現するつもりだ。
指揮官から「技術も、パワーも、メンタルも、まだいいものが満ちあふれています」と評された“代打の切り札"。今季も、持ち前の勝負強さで健在をアピールする。
写真=BBM