今年で41歳になる藤田。優勝のために全力を尽くす
気持ちの切り替えには時間がかかった。
「今でも引きずっています。ああいう形でゲームを、シーズンを終わらせてしまって……」
昨年11月末。来季の契約を更改した
藤田一也は正直に打ち明けた。
阪神と1勝1敗で迎えたCSファーストステージの第3戦。1点を追う9回一死満塁、代打で二ゴロ併殺に倒れた場面と向き合った。「もう、無理なのかな……」とキャリアの幕引きも考えたが、
大田泰示ら仲間の励ましによって奮起。「グラウンドの悔しさはグラウンドで晴らす」と前を向いた。
楽天を退団し、21年の12月に加入が決まった。05年のドラフト4巡目で横浜ベイスターズに入団している藤田にとっては、10年ぶりの古巣復帰。「ベイスターズで優勝したいと思って、プロに入った。ベイスターズ愛は変わりません」と恩返しを誓った。
昨年は主に代打で33試合に出場し、打率.250。限られた出番で決勝打を2本放ち、ここ一番の集中力はさすがだった。ベストナイン2度、ゴールデン・グラブも3度受賞。本職の二塁だけでなく三塁でも安定した守備力を発揮し、常に計算できる戦力であり続けた。
7月には41歳。スムーズな世代交代を進めている
DeNAでは、もちろん最年長だ。
「1年でも長く現役を続けたい。チームの目標は僕の目標でもある。僕の目標は優勝しかない。必ず優勝したいと思います」
内川聖一(前
ヤクルト)がNPB選手として引退し、同じ82年生まれの野手も
巨人・
中島宏之だけ。今年から戻る慣れ親しんだ「23」を背に、有言実行で大輪の花を咲かせる。
写真=BBM