新助っ人とはいえ、日本には慣れたものだ。C.C.メルセデスが来日したのは2017年。
巨人に育成選手として入団し、18年途中に支配下登録されて昨季まで6年間プレーした。来日7年目の今季は新天地で迎え、石垣島での春季キャンプでは、「カウントお願いします」と日本語で捕手に声をかけてブルペンで投球練習を開始し、終了後には「オツカレサマデス」と、コミュニケーションの不安はない。
もちろん投球にも期待だ。最速150キロの直球に加え、横滑りするスライダーが大きな武器。同じ先発左腕の小島も「右打者の内角に入ってくる軌道がすごくいい」と話して参考にするなど、相乗効果も期待できる。何よりシーズンを通して投げ抜く計算ができるのが大きい。巨人で通算83試合に登板して、防御率3.14。佐々木朗を筆頭に、故障から完全復活を期す種市、岩下ら先発投手陣のコマはそろうも、経験不足は否めず、石川、二木の両右腕も故障で出遅れているだけに計算できる助っ人左腕は戦力となるはずだ。
実戦でも仕上がりの良さをアピールしている。3月1日の
ソフトバンクとの練習試合(宮崎アイビー)で先発すると初回先頭打者から三振を奪取し、最速150キロを計測した直球は力強く、変化球も低めに集めて2回無失点と好投し「すごく良かった。自分が練習してきたことがしっかり出た」と納得顔。
29歳の誕生日となる3月8日には
日本ハム戦(ZOZOマリン)で先発し、初回に被弾するも「最後のイニングは良い感覚で投げることができた」と3回3失点ながら修正力に手応え。3月15日の
ヤクルト戦(神宮)でも初回に不運な当たりがあったが4回2失点に抑え、「2回以降はアグレッシブに投げられた」と納得顔を見せていた。メルセデスの開幕先発ローテ入りは、ほぼ当確。経験も武器に、先発陣を支えていくつもりだ。
写真=高塩隆