3月31日のソフトバンクとの開幕戦では二塁守備で美技を見せた
キャプテンは、優勝の2文字にこだわる。
中村奨吾は、今季で主将就任3季目を迎えた。「優勝のために、自分がしっかりと先頭に立ってやらないといけない」。強い覚悟でシーズンに向かう。
オフは揺れ動いた。国内フリーエージェント(FA)権の行使か、チームに残るか。熟考の末の決断は、残留だった。他球団でのプレーも選択肢にあったと話すが、「まだ恩返しができていない。このチームで優勝したいという思いが強い」。最後は8年間在籍したチーム愛を優先し、新たに4年契約も結んだ。
悔しさも糧にする。昨年は4月上旬に新型コロナウイルスの陽性判定を受けた。2017年6月から続けた連続試合出場は、思わぬ形で630でストップ。「試行錯誤しながら、思うようにはいかない時期が多かった」と明かすように、打率.257、68打点は納得できる数字ではなかった。頂点を狙ったチームも5位に沈んだ。
「すべて良い数字が出れば、チームも順位は上がる。キャリアハイの数字を目指す」と立場を理解する。自主トレはほとんど休まず、レベルアップのために稼働。体の切れを求め、瞬発系のメニューも増やした。すべては「1年間通して戦うため」。長いオフを無駄にはしなかった。
若い選手が多いチームの中で、ほかの選手、首脳陣などからの信頼は厚い。吉井監督も「監督が素人なので、奨吾にはしっかりまとめてほしい」と笑った。18年ぶりのリーグ優勝へ、「自分は毎試合出たい。試合に出て勝負したい」。不動の二塁手の存在は不可欠だ。
写真=湯浅芳昭