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楽天・岸孝之 東北の熱を感じて/地元愛を胸に

 


 宮城県仙台市出身の岸孝之は、名取北高時代は全国的には無名の存在だった。右腕が本格的にその名を知らしめたのは、東北学院大進学後のことだ。

 最速152キロのストレートを軸に、4年時の2006年には18年ぶりとなる仙台六大学春季リーグ優勝に貢献。リーグ新記録となる92奪三振をマークしMVPに輝いた。

 大学日本代表にも選出された右腕は同年秋、大学生・社会人ドラフトの希望入団枠で西武に入団。1年目からローテ入りし、11勝7敗の成績を残すなどの活躍を挙げると、FA移籍により17年に地元・宮城の楽天に移籍した。

 翌18年にはチームトップの11勝(4敗)、防御率2.72で、自身初となる最優秀防御率のタイトルを獲得している。楽天が日本一に輝いた13年は西武に在籍していたが、東北の熱は感じたという。

「対戦相手ながら、東北の皆さんがすごく喜んでいるところを見ていたし、何よりも優勝することで、こんなに喜んでくれる方々がたくさんいるんだと思いました」

 東北のファンが喜ぶ姿を見たからこそ、新天地では毎年のように「優勝」を目標に掲げてきた。

 11年の東日本大震災では、母校があった宮城県名取市も甚大な被害を受けた。幸いにも家族や知人らは無事だったと言うが「海にも行きましたし、よく知っていたので……」と心を痛めた。

 自らの本心を明かすことは多くはないが、野球を始めたスタートの場所。地元で結果を残したい思いは誰よりも強い。宮城、そして東北への思いを抱えながら、ベテランは今季も全力で腕を振るう。

写真=BBM
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