ルーキーが躍動する新生ドラゴンズ。チーム成績は低迷しているとはいえ、二遊間を守るドラフト2位・村松開人の攻守で浮上のきっかけをつかみたい。
球団史上初をマークしたから期待したくもなる。5月14日の
ヤクルト戦(神宮)。6点を追う8回無死満塁。先発・
小川泰弘の高め速球をひっぱたいた。「つなぐことだけを意識して打席に入りました。感触は良かったです」。これがプロ1号。初アーチが満塁弾のルーキーは球団の長い歴史で初めだった。
はいつくばってでもグラウンドに出る。静岡高時代、最後の夏を前に控えた2018年5月13日の静岡・草薙球場。左足をベースに強打。試合途中に救急搬送された。結果は左足首の骨折。医師から夏を諦めるように言われ、病室で泣き崩れた。
それでも「何とかなると思いました」。ベンチ入りして、元気に入場行進に参加。チームを盛り立て、代打出場もしている。
ドラゴンズは思い切り、若手に舵を切った。だからと言って、敗戦が許されるわけではない。内野陣は入団4年目の
石川昂弥、ドラフト7位の
福永裕基も守り、一塁には急造で
細川成也も守った。
チームの失策数はリーグ最多を独走している。将来的な戦う形を見出すのに精いっぱいなのが、チームの実情。若手選手は
立浪和義監督から指示された通りスイングの「形」をつくり、ゲームでその形を披露している。
5月27日の
DeNA戦(バンテリン)では途中から出場し、9回裏にサヨナラ内野安打を決めた。普通の一塁ゴロだったが、投手のカバーリングがやや遅れた。全速力で一塁まで走った村松の足の勝利だった。
対戦リーグが変わって、若竜たちはどんなパフォーマンスを演じていくのか。最下位脱出へ――ガッツマン・村松に期待がかかる。
写真=BBM