若いクリーンアップを下位から下支えするイメージだ。正捕手・木下拓哉が時にチャンスメーク、時に貴重な一撃で白星に貢献する。
5月25日の
広島戦(マツダ広島)では飛距離で魅せた。5回先頭で、広島先発・コロニエルの高め151キロを振り抜いて左翼席へ放り込んだ。
チーム10試合ぶりの先制点。その間の戦績が1勝8敗というのが、低迷するチーム状況を物語る。どうしても、先制点を奪いたかった。
先発・
柳裕也に白星をプレゼントする特別なゲームとなった。右腕は未勝利のまま、開幕から8戦目のマウンドだった。右腕の制球難もあった、援護不足もあった。試合前、
落合英二ヘッド兼投手コーチはミーティングで「何とか(柳を)勝たせよう」と号令を掛けていたという。
木下の一撃をきっかけに、加点して柳に1勝がついた。木下は「柳は別に悪いピッチングしていたわけではなく、打線がつながらなかったり、守備にほころびが出たり、野手のことがあったので、今日こそ勝たせたかったです」と振り返る。
ダイヤモンドを一周し、ベンチ前で柳とハイタッチ。そのときの柳の表情は「顔、表情、覚えていないです……」。木下もまた興奮していたのだ。
立浪ドラゴンズ2年目は着々とチーム改革が進んでいる。ベンチは若年層の起用へ舵を切った。負けていいわけではないし、負けの言い訳をつくっているわけでもない。ただ、経験が足りない選手はミスもする。
木下の役割は投手を引っ張り、野手に適切に声を掛ける。盛り上げる使命を負う。柳とは2021年の最優秀バッテリー賞コンビ。6月8日の
西武戦(ベルーナ)、柳は123球の完投で2勝目。木下とともに、さらに白星を重ねていく。
写真=BBM