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ソフトバンク・甲斐拓也 先人の思いに応えられるような姿を/伝統を背負って

 

背番号「19」とともに球界を代表する捕手へと成長した甲斐


 ソフトバンクにとって背番号「19」は名捕手の系譜だ。南海時代の1965年に戦後初の三冠王に輝き、プレーイングマネジャーも務めた野村克也が22年間に渡って着用した伝統ある背番号を2020年から継承したのが甲斐拓也だ。17年に野村と初対面した際には「次は君に19を着けてもらいたい」と言葉を掛けられたと言い、「うれしさと、本当に大丈夫だろうかという戸惑いもあるけど、野村さんの思いに応えられるような姿を見せたい」と気を引き締めていた。

 甲斐が背番号19を背負って今季で4年目。ここまで偉大な先人に恥じぬ結果を残してきた。変更初年度の20年は正捕手としてチームを3年ぶりのリーグ優勝に導くと、巨人と2年連続の顔合わせとなった日本シリーズも4連勝で制した。活躍はチームだけにとどまらず、21年の東京五輪、そして今年3月のWBCでは侍ジャパンの一員として世界一に貢献。11年に育成ドラフト6位で入団した男が、いまや日本を代表する捕手へと上り詰めたのだ。

 プロ入り13年目の今季は、4月終了時点までは打率.155、0本塁打、8打点と打撃不振に苦しんだものの、5月に入ってから徐々に調子は上向きに。交流戦ではチームで2番目に多い4本塁打を放つなど、定評のあるディフェンス力だけでなく、バットでも貢献度は高まる一方だ。「僕が打てば、もっとチームは勝てる」。野村が遺した『功は人に譲れ』の言葉をモットーとする女房役が、チームを3年ぶりのリーグ優勝、そして日本一に導く。

写真=BBM
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