打った瞬間、確信した。6月17日の
巨人戦(東京ドーム)。0対0で迎えた5回、二死一塁だった。小郷裕哉が内角のカットボールを振り抜いた。
舞い上がった打球は右中間席へ消えた。2試合連発となる3号2ランは価値ある決勝弾。「感覚は良かった」と笑顔で振り返った。
昨季は自己最少となる10試合出場で打率.167に終わった。不振の原因の一つは体調管理にあったという。
「昨年までは良いときと悪いときの差が大きかった。ただ単に、能力だけでやっていた」
オフは1学年上の
山崎剛と合同自主トレを行い、試合前の調整法やプロにふさわしい体調管理などを学んだ。
体調管理を助けてくれたのが、21年に結婚した同い年の妻だ。鶏肉を中心とした愛妻料理に舌鼓を打つとともに、食事の時間や摂取量なども見直した。
15パーセントほどあった体脂肪率は約11パーセントまで減ったという。試合前はもちろん、自宅に戻っても「準備」をすることで、好調を維持できることを実感。「毎日のコンディションで、やばいなと思う日がなくなった」と手応えをにじませる。
交流戦前まで、チームはリーグ最下位に低迷。だが、小郷が主に三番に座った交流戦に入ってから調子を取り戻しつつある。
守備を含めてまだ課題は残るものの、小郷の打棒は起爆剤として大いに期待できる。「何なりとこなせるようにしっかり練習したい」と小郷。勝負の5年目、さらにチームに欠かせぬ戦力となる。
写真=BBM