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中日・木下拓哉 正捕手のアクシデント/チームを支える扇の要

 


 痛すぎる離脱だった。中日の押しも押されもせぬ正捕手・木下拓哉が交流戦の戦いの中で投球を右手に当てた。大菱形骨の骨折で出場選手登録を抹消された。

 6月14日のロッテ戦(バンテリン)だった。マスクをかぶった2回、投球が右手甲付近に当たった。その後、安打を放ち、盗塁も阻止したが、イニングを追うごとに痛みが増したという。

「最初は『打撲であってくれ』と思いました。4回、一死満塁で併殺を取れなかったとき、これ以上はチームに迷惑を掛けられないと思いました」

 3-2-3の併殺を目論んだ。勢いのない送球は二塁ベース方向へ逸れて、併殺にはならず。首脳陣に痛みを訴えて、途中交代した。

 球界ではもはや珍しい、完全な正捕手体制を敷いている。ほかの球団は併用が主流。しかし木下は57試合に出場。打率.249、2本塁打、18打点をマークしていた。

 立浪監督は「何人かのキャッチャーを出す球団も多いですが、試合の流れもありますし、一人でという考え方でやってきました」。

 3連戦の初戦で相手主力をどう抑えるか、抑えた結果を2、3戦目にどう生かすか。打者と一番近い場所で観察し、息づかいを感じる。3試合をトータルで見て、投手とのバッテリーで抑えたかった。

 木下離脱によりチャンスをもらったのは5年目の石橋康太。6月24日のヤクルト戦(バンテリン)ではプロ1号を放ち、勝利に導いた。

「出させていただいたところでアピールしたいです」と石橋が意気込む。未来の正捕手候補が木下の穴をカバーする。ライバルは日本ハムから加入した宇佐見真吾になる。

 木下は7月7日にナゴヤ球場で、離脱後初となるキャッチボールを行って再スタート。早い復帰が待たれる。

写真=BBM
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