この活躍は本物だ。かつて
松井秀喜(元巨人、ヤンキースほか)が背負った栄光の55番を背負う秋広優人が「1打席、1打席が勝負」と語る表情には、すでに主力選手の自覚が漂っている。
二松学舎大付高から2021年にドラフト5位で入団。1年目から一軍で1打席(結果は左飛)に立ったが、昨季は一軍出場なし。高卒3年目の今季、最下位に沈むなどチームが苦しんだ4月中旬に昇格すると、ブレークを遂げた。
5月25日の
DeNA戦(東京ドーム)で初めて三番に座り、長打2本の1打点と堂々の「クリーンアップ・デビュー」を飾った。「(クリーンアップは)そう簡単に打てるものじゃないので光栄なこと。チーム内に超一流の選手がいるので頼もしい」と淡々とした言葉にもスター性を感じさせる。
原辰徳監督は「私やコーチが与えたのではなく、自分の力でしっかりと三番をつかみ取った」と成長を認めた上での抜擢だった。
20歳以下の選手がクリーンアップに座るのは、巨人では松井以来。左翼と右翼、一塁を守りながら、しっかりと三番打者に定着した。交流戦では18試合で長打がわずか1本と苦しんだものの、7月2日の
阪神戦(東京ドーム)で25試合ぶりの5号ソロを放ち、11日の
広島戦(東京ドーム)では自主トレの“師匠”である
中田翔とアベックアーチとなる6号ソロ。「小さく育ってほしくはない。バントもエンドランも、安打も本塁打も、という選手になってほしい」と原監督。その思いは、ファンや首脳陣の総意と言える。
写真=BBM