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中日・石川昂弥 天性のホームランバッター/後半戦のキーマン

 


 若手積極起用の中日にあって、頭角を現してもらわなければ全体の育成方針にも関わるのが石川昂弥だ。7月は最高のスタートを切り、11日のヤクルト戦(神宮)では球団通算9000号となる節目の一発も放った。

 ヤクルト先発サイスニードの初球、高め速球を振り抜いた。抜群の初速が背番号25の秘める可能性の一端。白球は左翼席中段へ飛び込んだ。

「抜いた真っすぐだと思います。打ててよかったです」。あと少しで9000号は把握していた。「節目の一本が打ててよかったです。節目というのがうれしいです」

 2011年の8000号から実に12年。その一本は森野打撃コーチだった。「オレは(9000号を打つメンバーとして)予想していたよ」と声を掛けられた。「本当かなって思いました」と笑顔は弾ける。

 1000本刻みを記録した打者は長距離砲が居並ぶ。5000号は落合博満、6000号は山崎武司、7000号はリナレス(現巡回コーチ)。脈々と続く歴史には「それはあんまり……」と口にした。それもまた石川昂らしい。

 プロ4年目の22歳。歴史に考えを巡らすほど、まだ手だれではない。シンプルに、節目という事実に喜ぶ。7月の月間成績は、24日現在、15試合で60打数22安打、打率.367、5本塁打と好調だ。

 立浪和義監督は「本当の四番になるための途中過程。いろいろ学んでもらえたらいい」と期待を掛ける。最下位争いと、順位は暗い中日。しかし石川昂が描く滞空時間の長い放物線を見ているときだけは、うっとりとし、時間を忘れられる。

写真=BBM
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