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広島・上本崇司 あきらめずに頑張った“成果”/ユーティリティーの極意

 

初めは驚きの四番・上本だったが、打線に好影響を与えている


 試合前のスタメン発表で、マツダ広島がどよめいた。7月22日の中日戦、上本崇司が「四番・二塁」でコールされた。通算3本塁打のプロ11年目。「ビックリはしたけど、別に長打を求められているわけじゃない。ただの4番目。やることは変わらない」。2安打1盗塁の活躍で、後半戦初戦の逆転勝利を支えた。

 まさにユーティリティーの神髄だ。チーム三冠王の西川龍馬が右脇腹肉離れで離脱し、菊池涼介も左腹斜筋の張りで欠場が続く。四番、そして二塁という2つの穴を一人で埋めてみせた。新井貴浩監督は「崇司はチャンスメークも、つなげることもできるし、勝負強さもあるオンリーワンの選手」と唯一無二の存在として認める。25日のヤクルト戦(同)では反撃の1点を奪う四番初適時打も放った。

 今季ここまで三番を除く八番までのすべての打順に座り、守備も内外野5ポジションをこなす。プロで一度も規定打席到達はないが、存在感はレギュラーと同等。打率こそ昨季の.307に及ばないが、後半戦3試合消化した時点で7月は月間打率.326とチーム状態同様に右肩上がり。今季は代打でも14打数6安打の打率.429で、得点圏に限れば打率5割。スタメンでもベンチスタートでも頼もしい限りだ。

 長く守備と走塁のスペシャリストとして、脚光を浴びることはなかった。「スタメンで出られない悔しさはありました。だから今、そういう立場にある子はあきらめずに頑張ってほしいなと思っています」。8月に33歳を迎えるベテランは、背中でもチームを引っ張っていく。

写真=BBM
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