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巨人・若林晃弘 少ない出番で存在感を/ユーティリティーの極意

 


 この男にとっての「極意」は、その準備にある。若林晃弘は万能ぶりでチームを支えているが、試合前練習では一塁用ミット、内野用、外野用と多くのグラブを手にグラウンドに足を踏み入れる。

「練習からいろんなところで、いろんな場面を想定しながらやれるようにしています。準備を怠らないように。どこのポジションでも同じ気持ち、集中力でプレーしたいと思っています」

 内外野をすべて守れる俊足のスイッチヒッターで、2019年からの3年間で12本塁打とパンチ力も併せ持つ。大洋(現・DeNA)で1972〜81年に俊足の外野手としてプレーした父・憲一さんの器用なDNAを受け継いだ若林は、桐蔭学園高、法大、JX-ENEOSを経てドラフト6位で18年に入団。プロ6年目の今季も代打、代走、守備固めと出番は多岐にわたる。

 不動の遊撃手、坂本勇人が右太もも裏の肉離れで離脱した翌日、6月24日の広島戦(マツダ広島)では代打出場から遊撃の守備に就き、「久びさに(遊撃を)守ったので、ちょっと緊張感はありました」と言いながらも、三遊間への強烈なライナーをダイビングキャッチ。何でもこなす頼もしい選手だ。

 今季はいまだに打撃では本領を発揮できていない。それでも「僕は打席が少ない中で、いかに結果を出せるか」と自らのやるべきことは心得ている。少ない出番で存在感を示す。それこそが、追い求めるユーティリティープレーヤーの理想像だ。

写真=BBM
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