まさに、待ちに待った一発だった。8月11日の
オリックス戦(
楽天モバイル)。同点で迎えた2回一死走者なし。阿部寿樹が外角スライダーを振り切った。高く舞い上がった打球は左翼ポール際へと吸い込まれた。先制の2号ソロは、楽天加入後、本拠地での初の本塁打となった。
お盆の交通渋滞によって、この日はチームの用具車も大渋滞に巻き込まれた。午後6時開始のはすが、用具車が球場に到着したのは午後7時過ぎ。スタメン以外の選手まで荷物の運搬を手伝ったが、試合が始まったのは午後7時46分。なんと1時間46分も開始が遅れた。
岩手・一関市出身の阿部は「試合時間が遅れるにもかかわらず、観客の方が多かったのでありがたかった。楽天モバイルでは初めてのホームランなので、打てて良かったです」。地元・東北でアーチを描けたことの喜びをかみ締めた。
昨オフ、
涌井秀章とのトレードで
中日から加入。中日時代に「マスター」の愛称で呼ばれた内野手だが、今季の序盤戦は苦しんだ。4月は9試合に出場で2安打に終わり、月間打率は.083。二軍降格も経験するなど、春先は不振にあえいだ。
だが、8月に入ると絶好調。同26日まで17試合に出場し、月間打率.382で8打点。持ち前の勝負強さを発揮している。
阿部は「いつかは(好調も)途切れる。打てていることは、すごくいいことだと思うので、なるべく続くようにしていきたい」と表情を引き締めた。今や「楽天のマスター」は、お待たせしました、とばかりに後半戦で躍動する。
写真=BBM