シーズン完走はならなかったが、その分、西川のチームへの思いは強くなった
今季最長6連敗で迎えた首位・
阪神との3連戦初戦だった。8月15日のマツダ
広島、3点ビハインドの5回二死三塁。
西川龍馬は巧みなバットコントロールで三塁線を破った。負ければ9ゲーム差、自力優勝も消滅するという一戦で、その後の逆転勝利につなげる適時二塁打。それまで11打席無安打が続いていた四番は、「やっとヒットが打てた」と安堵の言葉を残した。
大事な局面で離脱を余儀なくされた。7月11日の
巨人戦(東京ドーム)で右脇腹を肉離れ。離脱は約1カ月近くに及んだ。復帰戦となった8月8日の
ヤクルト戦(神宮)では第1打席で3年連続シーズン100安打となる右前適時打を放つと、2戦目で9号ソロを含むマルチ、3戦目は猛打賞。ただ、チームは自身の復帰からの2カードで0勝5敗1分け。復帰2戦目の試合後には、「俺、疫病神や。勝たしてくれ」と切実な思いを吐露している。
離脱前は全試合出場で、チーム三冠。だが、皮肉にも自身の離脱直後からチームは10連勝の快進撃で、一時は首位に浮上。嘆きたくなるのも無理はない。ただ、ここへ来て奮闘を続けてきた先発陣の乱調も目立ってきた。「だから、打たないといけないんですよ」。チームを勝利に導く一打を打ってこその四番だ。
自身は復帰したが、開幕から全試合で三番に座った
秋山翔吾が右下腿ヒラメ筋筋損傷で8月12日に出場選手登録を抹消。西川にかかる責任は増す。シーズン前に『1年間フルで』と掲げていた目標こそかなわなかったが、その分はシーズン佳境を迎えたここからバットで取り返す。
写真=BBM