失いかけていた輝きを取り戻した。5月に
廣岡大志とのトレードで
オリックスから加入した鈴木康平は、一軍のブルペンで居場所をつかんだ。
8月22日の
ヤクルト戦(東京ドーム)では1点を追う8回に三番手で登板し、ピンチを招きながらも
村上宗隆から空振り三振を奪うなど1回を無失点。直後の攻撃で味方が逆転したことにより、移籍後初勝利を挙げた。「あそこで1点を与えたら完全に流れが向こうにいってしまう状況だった。気合で乗り切った」と振り返り、初めて立った本拠地のお立ち台で、「お客さんもいっぱいいて、すごいうれしい」と笑顔を浮かべた。
2018年にドラフト2位でオリックスへ入団。「K-鈴木」の登録名で先発、中継ぎとして期待されたが、投手王国の中で登板機会が減っていた。6年目に訪れた新天地でのチャンス。常時150キロ台中盤をマークする直球が武器で、8月16日の
中日戦(バンテリン)では自己最速タイの158キロを計測した。これは離脱中の守護神・
大勢と並び、今季のチーム最速の数字だった。
移籍後初勝利を挙げた試合は29試合目の登板となり、21年の34試合を超えるキャリアハイはもう目の前に迫っている。
「これから連戦が続く。このチームのために、与えられたポジションで腕を振って抑えたい」
29歳の右腕は、新天地で水を得た魚のように生き生きとボールを投げ込んでいる。
写真=BBM