週刊ベースボールONLINE

オーロラビジョン

中日・涌井秀章 取り戻した本来の姿/ラストスパートにかける

 


 移籍1年目は思い描いていた数字ではないだろう。チームは最下位に低迷し、自身も6年ぶりとなるシーズン2ケタ敗戦。好投しても報われない試合があったのは事実。しかし、いくら打線が低調とは言え、忸怩たる思いでシーズン終盤を迎えた。

「兆し」が見えたのは8月29日のヤクルト戦(バンテリン)。7月を防御率10.29と苦しみ二軍落ち。一軍に復帰して2度目のマウンドだった。

「ドラゴンズに入って全部ゼロで帰ってきたことはなかったので、ちょっと頭にありました」。2点リードの7回、二死一塁で代打・澤井廉にカウント2-2から、この日最速の151キロで空振り三振に仕留めた。7回無失点の好投で久しぶりの勝利を手に入れた。9月12日のDeNA戦(横浜)でも6回を無失点に抑え、5勝目を挙げた。

 二軍での再調整では、真夏のナゴヤ球場で黙々と走り込み、屋内練習場のブルペンで淡々と投げ込んだ。そこで「気づき」もあった。杉山翔大ブルペン捕手から「角度が浅くなっていませんか」と言葉を掛けられた。

 涌井と言えば、ゆったりと左足をあげ、ひねる投球フォーム。このひねりが足りていないのではないかという指摘だった。自身のフォームが映し出されるモニターを確認しながら、本来の姿を取り戻した。

「大げさにやってみたら、すぐに戻りました」。下半身をしっかりと使った本来のフォームにチューニングされた。立浪和義監督は「真っすぐにキレがあるときは良いですね。これからも期待したい」と語った。

写真=BBM
オーロラビジョン

オーロラビジョン

週刊ベースボール各球団担当による、選手にまつわる読み物。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング