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ソフトバンク・中村晃 強い覚悟も、すべてはチームのために/復活を遂げた男たち

 

何でもこなせるだけでなく、多方面で頼もしさが光る中村晃


 チームが誇る「レフティースナイパー」が見事な復活ぶりをみせている。今季プロ16年目を迎えた中村晃は、開幕からコンスタントに安打を重ね、自身2年ぶりとなる規定打席にも到達。3年連続でゴールデン・グラブ賞を受賞している一塁守備でも、さすがのプレーを連発。打つほうでは三、八、九番を除く打順をこなし、四番でも出場するなど、ユーティリティーぶりもチームには欠かせない戦力となっている。

 昨オフの契約更改では背水の覚悟を口にした。「今年ダメなら終わりだな、という感じで自分を奮い立たせてやりたい」。2014年には最多安打のタイトルを獲得するなど長くチームの屋台骨を支えてきたが、21年は打率.245と低迷。巻き返しを期した昨季も規定打席に到達することができず、打率.253に終わった。ここ数年、チームには世代交代の風が強くなりつつある。とは言え、まだまだ若手にその席を譲るつもりはない。

 9月中旬には体調不良に襲われ、一時は体温が39度まで上がったが、出場選手登録抹消からわずか1週間で一軍の舞台に戻ってきた。万全の体調とは言いがたい状況だったものの、チームがCSを争う大事な時期ということもあり、「(チームを)抜けてしまったので。申し訳ないという気持ちはありました」と自らのことよりもチーム優先の気概を示した。

 3年ぶりのリーグ優勝を逃したチーム。だが、秋の戦いはまだ続いていく。寡黙ながらも背中でナインを引っ張る33歳。その存在感は高まるばかりだ。

写真=BBM
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