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DeNA・東克樹 すさまじかった勝ちっぷり きれいなV字を描いた左腕の軌跡/復活を遂げた男たち

 

2年連続1勝から今年は最多勝、最高勝率を獲得した東


 今年一番といえる達成感が、東克樹にはあった。「絶対に先制点を与えてはいけない」と気合十分で臨んだ9月26日の巨人戦(横浜)だ。まず2回一死満塁の大ピンチで吉川尚輝山崎伊織を連続三振。3回一死一、二塁でも岡本和真大城卓三を退け、尻上がりに状態を上げた。5回以降はわずか1安打。8回を5安打無失点と力投した。戸郷翔征(巨人)と大竹耕太郎(阪神)に4勝差をつけ、セ・リーグトップを独走する16勝目。勝ちっぷりがすさまじかった。

 5勝目を挙げた6月1日の楽天戦(楽天モバイル)から、16試合負けなしの12連勝。1983年に遠藤一彦が打ち立てた球団の連勝記録に並んだ。謙虚な左腕は「(山本祐大)祐大がまるで、お母さんのように『次はああしろ、こうしろ』と指示をくれた。祐大のおかげだと思います」と冗談を交え、開幕から全試合でバッテリーを組んでいる女房役に感謝。チームも2年連続のCS進出に王手をかけ「今日は本当に、精神的に疲れました……」と汗をぬぐった。

 プロ1年目の2018年に11勝で新人王に輝いた。味方の攻撃中にバナナで栄養補給する姿でも注目を集めた。2年目の4勝を経て、20年には左肘のトミー・ジョン手術。初めて開幕投手を務めた昨年も1勝に終わり、終盤はリリーフを経験した。オフのトレーニングにはピラティスを導入。体の操作性を重視し、インナーマッスルを鍛えた。

「1年間、先発としてローテーションを回りたい」と有言実行し最多勝、最高勝率のタイトルを獲得。背番号11の軌跡は、きれいなV字を描いている。

写真=BBM
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