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広島・松山竜平 いつでも、どこでも、責務を全う/これぞプロの技

 

ここぞの場面で勝負強さを披露した松山


 勝負強さが凝縮された一打だった。9月15日の阪神戦(マツダ広島)、松山竜平は同点の8回一死三塁から代打でしぶとく中前にはじき返した。前日にリーグ優勝を決めた王者に対し、意地の勝利をたぐり寄せた。今季、代打打率.380はリーグトップ。「ちょっと出来過ぎかな」と謙遜も、5年ぶりAクラスとなる2位の躍進をバットで支えた。

 1打席で結果が求められる過酷な役割の中で、見事に責務を全うした。代打の切り札としての仕事は終盤だけにとどまらない。5回までの代打は7度あったが、6打数3安打7打点。序盤からでも結果を残せるのは、豊富な経験とともに周到な準備によってなせる技だ。8月4日の巨人戦(マツダ広島)ではサヨナラ打で代打通算100安打の節目を飾った。

 かつて自身とともに2016〜18年のリーグ3連覇を支えたベテランに対して、新井貴浩監督も「さすが頼りになりますね、松山さん」と賛辞を惜しまない。就任1年目から菊池涼介上本崇司堂林翔太の3人のベテランを、それぞれプロ初の四番で起用するなど、大胆采配を見せた指揮官。「僅差の展開で終盤に松山さんがいるって、もし逆だったら自分でも嫌だもん」。頭に思い描く戦いの中でも欠かせない一人として存在感を放った。

 シーズン終盤には、刺激になる後輩も現れた。1月の自主トレをともにした田村俊介だ。プロ初安打を放った9月12日のヤクルト戦(神宮)から出場6戦で8安打。その後、死球による骨折で離脱も、チーム最年長の38歳は「頼もしいでしかないし、負けられない」と18歳下の後輩の活躍に表情がほころぶ。まだまだ老け込むつもりはない。

写真=BBM
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