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ロッテ・和田康士朗 唯一無二のスペシャリスト/ドラフト下位選手の今

 


 唯一無二の武器は輝きを増し、さらに伸びしろを感じさせる一年だった。

 和田康士朗は今季80試合に出場。2017年秋のドラフトの育成1位で指名を受け、20年に支配下登録。育成選手としてキャリアをスタートさせた24歳は、チームに欠かせない存在へと成長した。

 8月31日の日本ハム戦(ZOZOマリン)、7回無死一塁から代走として起用。相手投手のロドリゲスが投じた4球目に二盗を成功。7球目、変化球がワンバウンドし、捕手に当たって三塁ベンチに転がった。和田は俊足を生かして、すかさず三塁を蹴って、本塁に生還。一塁から「足」で決勝点をもたらした。激しく順位が変動したシーズン最終盤も、切り札として起用され続けた。

 大塚外野守備兼走塁コーチは「本来ならメンバー26人を決めるときに最初に名前が挙がるのは康士朗だと思う。それくらい価値のある存在」と語ったことがある。

 出番は常に1点を求める試合終盤。ワンプレーが必ず勝敗に直結する。大塚コーチは「思い切って判断ができる。スライディング、(セーフになるという)執着はすごい」と一目置く。

 今年のシーズン後半は打撃面でも進化を見せた。シーズン序盤に、重量が重いバットを使用して体の使い方を矯正。それまでの全力で振ることから、コンパクトに強く振る意識にも変化。

「今年はバットもスイングも変えた」(和田)

 挑戦が実を結び、プロ初本塁打を含む3本のアーチを架け、9、10月はともに月間打率が4割超え。「足のスペシャリスト」の今後に期待が膨らむ。


写真=矢野寿明
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