二番・二塁で試合に出続け日本一に貢献した中野
プロ入りした直後に甲子園歴史館を見学した
中野拓夢は「小さいころ、今岡(
今岡真訪現打撃コーチ)さんが好きだったので、今岡さんのユニフォームを見て興奮しました。勝負強い印象があります」と語っていた。
2021年ドラフト6位でタテジマのユニフォームにソデを通した。ドラフト同期は
佐藤輝明、
伊藤将司らだった。下位指名された1年目から一軍キャンプに参加し、左の
糸原健斗、
木浪聖也、右の
北條史也、
山本泰寛らと争ってきた。
今季、ショートから二塁に転向した中野が「野球人生でもっとも充実した1年でした」と言うように143試合フルイニングに出場し、二番打者としても活躍。攻守に18年ぶりのリーグ優勝に貢献した。
DeNA・
牧秀悟と並んで164安打のリーグ最多安打のタイトルを獲得。中野は「なんとか単独でという気持ちもありましたが、最後まで試合に出ることができて良かったです」と満足感を味わった。
中野は二番・二塁でシーズン164本のヒットを積み重ねた。今岡コーチが現役時代、
星野仙一監督で優勝した03年が165安打、岡田監督だった05年が156安打。あこがれの人に近づいたと言える。
二塁コンバートが成功した岡田監督も「価値があるよ。足もないとあかんし、代走とかいらん選手やからな」と評価した。CSファイナルシリーズを突破し、日本シリーズでも起用し続けた。
プロの世界に入ったときに「打率を高くして、かき回すのが自分のスタイルです」と話していた出世男がチームを代表する選手にまで成長を遂げた。
写真=BBM