チームトップの24本塁打を放ったのは、現役ドラフトで加入した細川成也だった。プロ入りから
DeNAでの6年間で計6本塁打だった長距離砲は一気にブレーク。
巨人・
岡本和真、
ヤクルト・
村上宗隆、DeNA・
牧秀悟に続き、
阪神・
佐藤輝明と並ぶ4位タイだった。
「僕自身がこんなシーズンになるだなんて思いませんでした。1年前はクビになるのかな。もし戦力外通告を逃れられたとしても、あと1年でクビだろうな、と感じていましたから」
環境が人を変えるとはこのことか。「和田(
和田一浩)打撃コーチ、立浪(
立浪和義)監督ら指導者との出会いで僕は変わりました」。構え、ゆったりとボールを見る感覚、インパクトまでのバットの動き、すべてを見直した。
うれしい1試合2本塁打もあった。「誰もが知るピッチャーから打った。信じられませんでした」。5月27日のDeNA戦(バンテリン)の相手先発はメジャー通算83勝でサイ・
ヤング賞右腕T.
バウアー。
「1本目はスライダーを狙って、2本目は真っすぐ狙いで変化球に対応できました」。左翼席、右翼席へ放物線を描く。広い本拠地で竜に細川ありを示す成功体験となった。
「3年やって初めてレギュラーと言われる世界。数年後に『2023年がプロでやっていける手応えを得たシーズンだった』と言えるように、頑張ります」
同学年のDeNA・牧からは「本当によかったね」と声を掛けられた。他人からの評価が高まり続けていることを、細川はまだ認めていない。コツコツとトレーニングを続けていく。
写真=BBM