躍動感あるフォームから、打者を圧倒する一球。東妻勇輔の武器は、キレのあるツーシームだ。手元で動くボールは、昨季は投球全体の5割近くを占めた。さらに磨きをかけ、今季も救援陣の一角を担う。
日体大時代、最速155キロの直球が魅力な右腕だったが、プロの舞台で活躍するために速球以外の武器を模索。37試合に登板したプロ3年目(2021年)に、先輩の
田中靖洋から学んだツーシームが転機となった。
22年の3試合登板から昨季は36試合に増加し、防御率2.91と安定感のある数字を残した。フォームの改良なども奏功し、「向こうも慣れていないところがあった。(相手が)新しく出てきた投手のような感覚だったと思う」と分析する。
さらに昨シーズンは、打者のタイミングを惑わすクイック投法で投球の幅を広げた。高速クイックは走者なしでも活用し、走者を背負っても併殺でピンチを切り抜ける場面も。
「自分の中でも武器になり得ると思っていなかった」と驚いた。
オフはクイック投法での平均球速の向上を目指す。調子を落とした8月は蹴り足の力強さが落ちていたというデータが出ていたと言い、「下半身の力強さを出せばおのずと球速も上がる。下半身強化を重点的に行う」と意欲的だ。
50試合登板が目標。そして、吉井監督に対して、熱い思いを秘める。
「最後までもっとチームのために投げられれば監督にも恩返しできた。まだまだ足りないので、吉井さんを胴上げできるように」。同郷の指揮官のため、フル稼働を誓う。
写真=松田杏子