伝統球団のエースの座を継承した戸郷翔征を、東京ドームの真っさらなマウンドが待っている。阿部監督の船出となる3月29日の阪神戦で、自身初となる開幕投手を務める。

「もう、誰もが認めるリーダーですから。開幕戦で投げてもらいますよ」

　昨年11月30日に東京都内で開かれたトークショーに登場した戸郷は、横に座る指揮官から公開指名を受けた。「初めて言われたので驚いています。今、知りました」と困惑しつつも「やらないといけない。阿部さんの1勝目を初戦に飾りたい」と厚い信頼に応える誓いを立てた。

　昨年3月のWBCに出場し、世界一に貢献して迎えた昨季は、投手主将に就任してチームトップの12勝(5敗)、防御率2.38をマークした。先発陣の柱となったプロ6年目の右腕は「個人としてはMVPを獲れるように、いい成績を残したい。防御率や最多勝、タイトルも全部獲りたい」と、シーズンを通してさらにひと皮むける覚悟を見せている。

　春季キャンプでは、開幕カードの“前哨戦”となった2月23日の阪神とのオープン戦(那覇)に先発。昨年日本一に輝いた相手を1回1安打無失点に抑えた。予定されていたシート打撃の登板を回避したこともあったが、「すごく順調に来ている。問題なく次の試合も入れると思う」と周囲を安心させた。

　巨人の新エースが、阿部監督にピカピカの初白星を贈る。

写真=BBM